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皆さんこんにちは!
株式会社ヤマダ、更新担当の中西です。
素材を生かし、性能を設計し、空間の“空気”まで仕上げる仕事
左官は“塗る人”ではありません。土・石灰・石膏・セメント・鉱物系仕上げなど多様な素材を選び、下地の状態を診断し、層構成を設計し、湿気・熱・音・光までを整える“外皮・内装のエンジニア”。だからこそ、現場からのニーズは年々高度に、そしてやりがいもまた深くなっています。本稿は、左官業のリアルに根ざしたニーズ(要求)とやりがいを整理し、すぐ使える実装のヒントまでまとめます。
ひび割れ抑制と付着の確実化
下地の動き・収縮に応じたメッシュ補強、誘発目地、弾性下地、界面プライマーの選定。数年後の再劣化を“設計で”減らす。
調湿・空気質(IAQ)性能
漆喰・土系・珪藻土・鉱物系の吸放湿レート、pH、VOC吸着性を数値で提示。カビ・結露対策とセットで提案。
短工期・安定品質
可使時間・養生温湿度・含水率の管理、機械施工(ポンプ・スプレー)とのハイブリッドで面精度×速度を両立。
改修下地への適合
ALC・PB・RC・旧塗材・タイル撤去跡などに対し、付着試験/中和・pH確認/下地調整の“診断→処方”力。
耐水・耐汚染・清掃性
水回りや商業施設では撥水・防汚・耐薬品の要件が必須。鉱物系+保護材やマイクロセメント等の表層設計。
外装の耐候と通気排湿
一次防水・二次防水・通気層の連続性。外断熱(EIFS)では熱橋対策とメッシュの重ね幅まで明記。
意匠の再現性と多様性
磨き・掻き落とし・洗い出し・骨材混入・テクスチャ。サンプル承認→標準板→量産の“同じを繰り返せる”段取り。
品質の“言える化”
塗り厚・平滑度・含水率・温湿度・メッシュ重ね幅・写真の記録台帳。引渡し後の説明責任に直結。
安全・環境
粉じん対策・低VOC・静音養生・廃材分別。低炭素素材や再炭酸化の視点、LCA/EPDの要望も増加。
BIM/CAD・他職種との同期
層構成をBIMに載せる、拾い出し精度、監督・内装・防水・設備との干渉解消。デジタル前提の合意形成。
面が立ち、空間が締まる瞬間
下地の波・出隅入隅が整い、光がキレイに走ったとき、空間の品位が一段上がる手応え。
素材の声を引き出す喜び
土・石灰・鉱物系の手触り・色の深み・光の拡散。サンプルでは出なかった表情が“現場で”立ち上がる。
数字で語れる職能
付着強度、含水率、塗り厚、温湿度、pH…感覚+数値で品質を説明できる誇り。
難所を納め切った達成感
開口周りの微妙な動き、既存との取り合い、曲面の連続。**1発で“収めた”**ときの快感。
健康・快適への貢献
調湿でカビや匂いが減り、「子どもがよく眠れる」「冬の結露が止まった」と生活者の声が届く近さ。
伝統と現代の橋渡し
漆喰・土壁の技を、改修・商空間・外断熱の文脈へアップデートして活かせる。
チームで成果が出る一体感
防水・内装・電気・設備と同じ地図で段取りがハマり、手戻りゼロで終わる日。
技の継承が見える
鏝の角度や圧を言語化・動画化して後輩に渡せる。技能が資産になる手応え。
設計者:意匠×性能の両立/サンプル→標準板→量産の再現性/BIM層構成・テクスチャ情報/LCA資料
現場監督:工期順守(可使時間・養生計画)/粉じん・騒音・動線の安全計画/記録台帳(塗り厚・含水率・写真)
施主・運用者:清掃・補修の容易さ/カビ・匂い対策/色ムラの安定/保証とメンテ周期
ひび割れ抑制パック
開口周り・入隅・目地のメッシュ標準図+弾性下地+誘発目地。ひび幅・間隔の許容を提示。
IAQ(空気質)パック
漆喰/鉱物系で吸放湿・pH・VOC吸着を数値で提示。水回りは保護材の耐薬品データ添付。
改修ワンデー薄塗りパック
旧クロス・旧塗材の上から下地調整→フィラー→薄塗り仕上げ。粉じん・臭気・当日復帰の段取りを明文化。
品質“言える化”パック
塗り厚ゲージ・含水率・温湿度ログ・写真をQR台帳化し、引渡しPDFを納品。
下地診断
付着強度・含水率・pH
クラック種別(構造的/表層)と補修方法
層構成・材料
プライマー相性/メッシュ重ね幅/誘発目地位置
可使時間・養生温湿度・塗り重ね間隔
仕上げ・意匠
標準板の色・艶・テクスチャ承認
量産時のバラつき許容(ΔE・光沢度)
安全・環境
粉じん養生・低VOC材・廃材分別
作業音・時間帯の合意
記録
塗り厚・含水率・温湿度・写真・ロット番号を保存
A|RC外壁の再塗装前下地
課題:ヘアクラックと白華。
施工:洗浄→低圧注入→弾性ベース+メッシュ→鉱物系仕上げ。
成果:3年経過でクラック再発ゼロ、雨だれも抑制。
B|飲食店の厨房壁
課題:油汚れ・漂白洗浄への耐性。
施工:鉱物系薄塗り+耐薬品保護材、立上りは見切り金物で清掃性UP。
成果:清掃時間30%短縮、退色・剥離なし。
C|保育施設の教室
課題:匂い・結露。
施工:漆喰仕上げ+換気計画と窓の結露対策をセット提案。
成果:冬の結露ほぼ解消、臭気苦情ゼロ。
“層構成シート”を標準化
下地条件→プライマー→補強→下塗→中塗→仕上→保護→養生をA3一枚に。現場・設計と共通言語化。
計測と台帳の習慣化
塗り厚ゲージ・含水率計・簡易温湿度ロガーで記録→QR化。引渡しの説得力が跳ね上がる。
メッシュ・目地の標準図セット
開口・入隅・天井見切りの3D断面テンプレを社内共有。クラックを“施工の工夫”ではなく設計の既定動作に。
左官の価値は、素材の魅力×建築物理×段取りを一体にして、空間の“質”と“健康”を底上げすることにあります。
ニーズは高度化していますが、やりがいはむしろ増えています。面が整い、光が走り、空気が変わる――その瞬間を毎日つくれる仕事は多くありません。
次の現場では、
ひび割れを“設計で減らす”、
品質を“数値で語る”、
美しさを“再現で裏付ける”。
この三点を合言葉に、左官の価値をもう一段、引き上げていきましょう。
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